▼館長の写真日記 令和5年4月22日付け2023/04/22 09:00 (C) 最上義光歴史館
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三十八間総覆輪筋兜
被弾した鉄砲玉の疵
通常、兜を展示しているケース
破調の美となる(!?)黒織部沓茶碗
銃弾が貫通したようにも見えますが・・・
当館の最重要展示品である「三十八間総覆輪筋兜」は現在、米沢市上杉博物館の特別展「上杉景勝と関ケ原合戦」(前期4月22日〜5月21日)に出展されています。この兜には直江兼続との合戦で被弾した鉄砲玉の疵が残っており、非常に貴重なものです。
その間、兜を展示していたケースには、三の丸跡の双葉町遺跡から発掘された「黒織部沓茶碗」を展示しています。茶碗の一部が破損しており、これもなんと鉄砲玉の被弾により破損したもの、ではなく割れた状態で出土したものです。
これが無傷であったなら、美術館に収蔵されてもいいくらい、織部らしい沓形の茶碗です。窓ぬき部分に市松模様が絵付されていますが、黒織部であるため、より斬新な印象になっています。
織部焼というと通常は、緑色の銅釉をかけた青織部を思い浮かべますが、黒織部は鉄釉を急冷させて黒く発色させます。急冷とは焼成後すぐ水につけることで、この手法を引出黒(ひきだしぐろ)といいますが、作りが悪いと割れたり破れたりします。形が複雑な沓茶碗ではなおさらです。
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※ここで、黒茶碗(!?)の豆知識
織部焼には黒織部の他に織部黒というのもあります。その違いは、窓絵といわれる文様があるものが黒織部、黒釉が器の全体を包んで文様のないものが織部黒といわれます。瀬戸黒も手法的には同じです。
ちなみに楽焼における黒楽も鉄釉を用いますが、これは釉薬をかけて陰干しすることを10回程度繰り返した後、焼成、急冷することで、あの漆黒のふっくらとした肌合となります。
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※もうひとつ、古田重然(織部)の豆知識
古田重然(1543〜1615)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康それぞれに仕えた武士で、40歳ころまでは茶の湯への関心はなかったらしいのですが、千利休の弟子となり、利休亡き後は「天下一」と称された武将茶人です。最上義光(1546〜1614)とはまさしく同時代の人です。
織部(織部好み)は、慶長年間(1596〜1615)に爆発的な流行をみせ、利休の静謐さと対照的な動的な「破調の美」の道具組を行いました。この「破調の美」の表現法に、器をわざと壊して継ぎ合わせ、そこに生じる美を楽しむという方法があるといいます。もしかしたら当館の黒織部茶碗も、この方法で新しい美をもたらすことができるかと。
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