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▼H君のこと

H君は私の数少ない“御学友”でした

山形市内の有名校出身でしたが 一浪して理学部に入りました

私と一緒で入学手続きが遅れ 最後の一軒のアパートに流れ着きました

このアパート なんと名前が『一二三荘』でした

部屋の狭さでは まちがいなくワースト3に入る物件でした

彼は入学後迷わず山岳部(体育会系)に入部しました

部屋には『山と渓谷』とザイルやピッケルが乱雑に置かれていました

彼が勉強しているのを一度も見たことはありませんでした

いつも『ガキデカ』をムシムシと読んでは笑いを押し殺していました

学習塾のバイトを一緒にやってましたが

ませた中学生に告白されて 心底困り果てていました

彼が布団に寝ているところを見たことがありません

彼はアパートでも一年中シュラフ(寝袋)で寝ていました

一年のうち3〜4ヶ月は山にこもっていました

山から帰ってくると 顔の皮膚がボロボロになってました

冬山でビバークすると 大きい方の用が寒くてたいへんだと言ってました

テントの中の端っこの雪に穴を開け そこにするんだと言ってました

用を足すとき みんなを振り返り 『臭うか?』と言って

山男 山女に顰蹙を買うやつがいると教えてくれました(お前だろ)

二人でなかよくストリップを見に行きました

彼は週末によく一人でフラっと山へ出かけました

山頂で見る満天の星は綺麗だぞ と言ってました

私がアパートを出てからは 音信不通です ずっと



卒業して海外青年協力隊でアフリカにいると風の噂で聞きました
2010/11/10 08:04 (C) FPのひとりごと
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