▼西雅秋AIR第2期レポート2006/10/16 09:45 (C) 美術館大学構想
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■写真上:牡蠣殻に似たシリコン型に石膏を流し込み、硬化を待って型を外すと、白いコケシが姿をあらわします。
■写真中:山形で収集した石膏のモチーフに、作家の工房周辺で丹精された野菜の型も加えられ、作品「彫刻風土」の解釈は、西さんの飯能での生活も抱き込んでひろがっています。
■写真下:彫刻・建築・洋画・日本画・工芸・美文etc...様々なコースから集まった15人の学生チームが、揃いのツナギで制作に参加しました。
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雨の大学祭の真最中、悪天候にかえってハイ・テンションな賑わいを見せたキャンパスの一隅で、西雅秋さんの滞在制作が進められました。
9月の滞在時に制作した大小50個ほどの型に石膏を流し込んでいきます。スタッフ一同、作業のコツと流れを把握するとともに、効率アップを目指して増殖していく生産ラインは、当初予定していた2つの研究室ではとても間に合わず、廊下にまではみだしていきました。
10月28日の夕刻、完成したこれらの集積のまわりで舞踏『時の溯上』を披露する予定の森繁哉さんは、この現場を「焼き場の骨ひろい」と形容し、西さんは、透き通るように薄く鋳抜かれた石膏の野菜を「食べるために並べる」と言って学生たちを惑わします。
和気あいあいと進められた夏の型作りに比べて、不思議な緊張感が張りつめていた鋳込み作業の3日間は、石膏に写し取られた「食」や「性」の断片から、脆くはかない命の営みを抽出する行為のように思われました。鋳抜き作業場は29日から朝日町の廃校へと場所を移し、オープンスタジオとしてその行程の全てを一般に公開されます。
旧立木小学校でのプロジェクトは、建築学科の有志学生と西さんの共同作業として進められ、廃校に残された、かつてここで学んだ子どもたちの記憶を留める様々な品々とともに、即興的に構成・展示されていく予定です。
宮本武典/美術館大学構想室学芸員