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▼【仕事のススメ】8回目『第2新卒と既卒』

団塊の世代が大量退職する2007年問題を間近に控え、若年者の早期離職が叫ばれる中、『第2新卒』という集団が注目されている。一方、耳慣れないが『既卒』という集団もいる。同じ若年雇用の問題であるが、なかなか解決の糸口が見つからない。
本誌の読者には意外と求人側も多いと聞く。今回はそんな方々に向けて書いてみたい。


第2新卒とは、学校を卒業してはじめて就職した人で、就職後1年から2年程度で退職して転職しようとしている人たちのことをいう。転職市場の専門用語だ。ちなみに、同じ新卒の若者でも、就職しないまま卒業して社会に出た人たちは「既卒」と区別され、その多くはフリーターとして働いている。

▼第2新卒の特徴
 第2新卒が注目されるようになったのは、大学新卒で会社に入社すると3年以内に3分の1が離職してしまうというデータがあるからだ。世に言う「七五三問題」、中学卒の7割、高校卒の5割、大学卒の3割が入社3年以内に最初に就職した会社を退職し、数値は年々高まっているという。
第2新卒に対する評価は大きく分かれる。
新卒時の就職活動で本人に合った会社選びが出来ていない、十分なキャリアを身につけないまま転職することは将来のキャリア形成に良くないという否定的な意見。
一方、他社で社会人として基礎的な訓練を受けているが、他社の企業文化や仕事のやり方にまだ染まっていないので、中途採用を行なう企業にとっては使いやすいという肯定的な意見もある。

▼本人の立場から
私は高校、短大、大学に出向き学生の就職支援を行っている。そこで出会う学生を見ていると真剣に考えているかどうかの前に、学校側のサポートがまだまだ時代変化に追いついていない感じがする。単に「来た求人の中から選ぶ」という一昔前(バブル期以前)の就職活動がベースになっているところがまだまだ多いように思う。ようやく、民間企業が開発したノウハウを使った自己分析をベースにした就活プロセスが動きだしつつある。
これまで述べてきた状況を考えあわせると、早期離職の責任をすべて本人に押しつけるわけにはいかない。ある程度の我慢は必要だが、早めの方向転換がよい結果を生むケースが少なからずあるように思う。

▼企業の立場から
 早期退職者へのこれまでの評価は、「頑張りがきかない」「我がまま」といったものが多く、採用するなら新卒と考える企業が多い。しかし、ここへ来て変化の兆しが見られる。2007年問題と好景気による企業の採用意欲の高まりである。
 派遣社員から正社員への登用などを積極的にやっている企業も多い。しかし、これも人数が限られるのと、将来の年令構成を考えるとやはり「若者が欲しい」と言うのが本音であろう。そう言った企業には、まさに第2新卒は狙い目の人材かもしれない。

▼山形の求人状況の変化
 手元にハローワーク山形所管内の求人と求職者のデータがある。どん底だった5年前(平成13年)と比較してみると変化がよく分かる。

 =1ヶ月当りの求人・求職者登録数=
  項目       平成13年度平均  平成18年9月  増減率
  求人件数     6,707件    11,642件  73.6%
  求職者数     8,637人     8,282人  ▲4.4%

 求人件数(仕事)が大幅に伸びて求職者数(人)が減っている。有効求人倍率も0.78(5年前)から1.07(現在)と改善しており、データの上からも人余りから人手不足に変わっていることが読み取れる。ちなみに、有効求人倍率が0.85を超えると企業は人を採用しづらくなった、と感じるそうだ。

▼企業の協力が不可欠、「既卒」問題
 就職氷河期に、求人が減少したばっかりに以前だったら正社員として採用されていた階層が、就職できずに社会にでた。その後、フリーターになったり、ニートになったり。これが「既卒」問題だ。
既卒と第2新卒の違いは、正社員としての経験が全くないこと。新入社員教育を受けた経験がないのだ。上手く挨拶が出来なかったり、おとなしかったりする。採用試験で決め手を欠く人物像だ。
しかし、実際に話をしてみると、真面目にコツコツ努力する、しっかりした人材が意外と多い。就職面接では、言葉に出して自分の考えがはっきり言える、いわば目立つ人が好まれる。しかし、企業の足腰を支えてきたのは、多少理不尽なことにも文句を言わず、自らを成長させ、ひたすら仕事に精を出す生真面目な人々だ。今の時代でも必要とされる人材群だ。

政府は「再チャレンジ可能な社会」を政策に掲げた。景気が多少なりとも回復し、人手不足になってきた今、企業も若者の再チャレンジに手を貸し、戦力化していくタイミングではなかろうか。

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TanQ(アイン企画発行)
Vol.16(2006年12月号)に掲載
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